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遠近法1 ブルネレスキ

15世紀初め、ブルネレスキはフィレンツェのサン・ジョヴァンニ洗礼堂とパラッツォ・ヴェッキオを描いた2枚のパネル画で人々を驚かせたという。伝記作家マネッティによると一辺30cm程の板に洗礼堂が克明に描かれ、空の部分には銀箔が貼られていた。洗礼堂が描かれているパネルには穴が開いていて、裏側からその穴を通して覗き、片方の手に持った鏡に映った洗礼堂を見る、という仕組み。「あたかも本物がそこにあるかに見えた。私はこの絵を実際に手に持ち、何度もそれを眺めたので、こうして証言できるのである」と記している。
画面に垂直な線を消失点とよばれる点に集めることで三次元空間を二次元平面に表す線遠近法。線遠近法で描かれた絵を定められた位置と固定された視点から見ると、現実と区別できないほどの現実性をもって再現されるという。この時点では、現実世界をそっくり相似の形で再現することが重要だった。
中世では遠近法は「光学」の一分野としての科学だった。科学を含む自由学芸とは切り離された職人(芸術家)とは無縁のものだった。ブルネレスキが実際の建築物の測量で用いた数学的方法を応用して遠近法の可能性を示すことで少しずつ芸術表現でも使われるようになった。
右図上左と下
ブルネレスキが透視図法の実験のために制作した二つの小板絵の再構成図 洗礼堂とヴェッキオ宮
上右 遠近法の実験
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1
イタリア・ルネサンスの巨匠たち7 ブルネレスキ
遠近法2(マザッチョ) 3(アルベルティ)  4(聖会話) 5(ウッチェロ) 6(ピエロ・デッラ・フランチェスカ)
ルネサンス 用語集