大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

16 壁面の傾き

ドームの8つの壁面の曲率をそろえて、頂部で揃わなければならない。
その頃使われていた計器は垂直線を求めるための、おもりを吊るした垂直糸と水平を調べるための水準器だけだった。
ブルネレスキはゴシック建築の棟梁たちと同じ方法、つまり広大な砂地をならして、そこに実物大の設計図を描いた。その設計図をもとに8本のリブ用の型板が作られ、その型板に合わせて壁を積み上げるようにした。リブを先に設置し、それに合わせて壁を積んでいった。
壁は上になるほど内側に傾いてくる。徐々に傾ける方法の手がかりを、詩人で歴史家のバルトロメオ・スカラが1490年代に書いた「フィレンツェ史」に見ることができる。それによると「(ドームの)中心を決め、そこに印をつけたうえで、ブルネレスキはその中心点と外壁のあいだにヒモを張った。これと同じ作業を外周全体についておこなうことによって、彼は石工がれんがやモルタルをどんな順序、どんな角度で積んでいけばよいかを決定した」とされている。上にいくほどヒモの長さが短くされていったらしい。