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14 カステッロ

次に引き上げられた石材を水平に移動させて、正確な位置に正確な角度で置かねばならない。
大聖堂造営局はこの装置もコンクールで募集することにした。設計案の提出期限は1423年4月。ブルネレスキとギベルティ側のアントーニオ・ダ・ヴェルチェッリが応募したが、造営局はブルネレスキの案を採用した。
それは木製の主柱に可動式の角材を水平に取り付けたもので、横桁に石材をつり下げ、その反対側に釣り合い重りを下げる。そして木製の水平ネジを廻して石材を移動させ、重りの位置も調整しながら起重機のバランスを保つ、という難しい操作が必要なものだった。
「カステッロ(やぐら)」と呼ばれたこの機械を操作する者は、いちばん上の小さな作業台の上で石材と重りを調整しながら、ネジ締め金具を操作して石を正確な位置に下ろさなければならなかった。(角度の調節については不明)
なおこの当時、素材の強度の計算はできなかったので、機械が石材の重さに耐えられるかどうかは、経験を頼りにするしかなかった。 幸いにも牛力巻上機もカステッロも部分的な修繕だけで使い続けることができた。

フィレンツェ大聖堂建設 15 抗張力環