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11 円形から八角形に

ブルネレスキの設計は八角形のドームを円形ドームとして建てることにあった。内殻の厚さ2mの壁の中にできる0.7mほどの円形、それをもとに円形ドームを建て、壁の厚みを調整して八角形に見えるようにする、というものだった。
壁の中にできる円形のイメージ(正確な比率によっているものではありません)は右の八角形。 一方外殻は厚さが薄いため、れんがでアーチ・リングを作りそれを壁に埋め込んでいる。収まりきれない部分は2つのドームの間に出るようにして、外からは見えないようにしている。壁が薄いため抗張力環ではなく、崩落を防ぐためのものだった。アーチ・リングは右の骨組み。
ブルネレスキのトリックを使ったような工法は従来使われたことがない。本来設計者、監督、石工たちは協力しあって仕事を進めるものだが、ブルネレスキは技術が盗まれるのを防ぐという目的もあって基本的な構造や全体にわたる正確な説明をしなかったらしい。特殊な工法のためそれまでしたことのない作業や複雑な石組みの方法などがあり、石工たちはそれぞれの作業のときにブルネレスキが作ってくる模型などで指示を受けながら仕事をするしかなかった。
指示するブルネレスキと指示されるままにその作業の意味も分らずに仕事をする石工たち。お互いの協力がないことで、いろいろなトラブルも起きたらしい。